〜2013ジャパンオープン最終日 速報〜

By Shin Uesugi

皆さんこんにちは!Shinは昨日寝落ちしてしまいましたが、
とりあえず二日目終了時点でのトップグループを見てみましょう。



南條さんは、6ラウンドに塩見さんを倒し、6戦全勝と
2位以下に1ポイント以上差をつけて文句なしのトップ。
オリンピアードの権利は、ほぼ手中に収めたと言っていいでしょう。
前回も今回も、彼にShinの予想を覆されてきましたが、
ここまで圧倒的な強さを見せられると逆に清々しくなりますね。

南條さんを1ポイント差で追うのが、幾度となく全日本チャンピオンの
栄冠を手にしてきた権田さんです。5ラウンドでFM Lewisさんとの
死闘を制した後の6ラウンドは、ダークホースの倍井さんに勝利。
7ラウンドは強敵羽生さんとペアリングが組まれていますが、
ここで勝てばまだ優勝の目はあるでしょう。

7ラウンドに南條さんに挑戦するのは、小島慎也さんの生徒、
通称小島チルドレン神田大吾さん(1774)。6ラウンドでは
日本を代表する女子プレーヤーである内田成美さんを下し、
ついに1番ボードまで上がってきました。

7ラウンド開始は10時から。また情報が入れば、随時
このページを更新していくつもりです。

ROUND 7


1番ボードは神田(左)VS南條(右)!!

泣いても笑っても今日が最終日!ジャパンオープン
第7ラウンドがスタートしました!トップ2ボードは、
どちらも1.d4系のポジションに見えます。
南條さんがBenoni、羽生さんがQueens Gambit
Declinedといったところでしょうか。

3日コースの影に隠れがちですが、今日はジャパンオープン
1日コースも行われています。1日コースはFIDEレート2192を
誇る強豪、Philipp Orglerさんや、女子日本代表の
石塚美来さんをはじめ、18名が参加。
今年のジャパンオープンは、合計66名が参加した、
東京オープンを超えるビッグトーナメントとなりました!

そしてShinが夕食に行ってる間に、1番ボードが終わったようです。
神田さんは中盤の入口で黒マスビショップを手放してしまい、
盤上の黒マスは完全に南條さんの支配下へ。白マスを
使って必死にバリケードを築き、逆転への望みをかけた
神田さんでしたが、南條さんのBg3!!が息の根を止める
強烈な一手!南條さんにキングサイドを食い破られた神田さんは、
成す術なく投了しました。この勝ちで南條さんの優勝が
確定しましたが、ここまで来たなら8連勝してもらいたいですね!


Shinがシャワーを浴びていても、チェス大会は続きます!
2番ボードの権田-羽生戦は、羽生さんが中盤でタクティクスを
決め、ポーンアップに。このまま羽生さんが押し切るかと
思われましたが、時間切迫の中、権田さんが決定打を
与えない指し方でポーンを取り戻し、ドローをもぎ取りました。
この時点で、南條さんの単独優勝が確定!おめでとうございます!!

3番ボードの山田-Alex戦は、ルーク+ナイト+ポーン達の
マイナーピースエンディング。このタイプの終盤戦で塩見さんに
敗れたAlexさんでしたが、さすがは前年の覇者。ここから
じりじりとリードを広げ、山田さんを退けました。

6番ボードでは、東芝輝臣さん(1996)が、FM Lewisさんに
勝つという金星!4、5番ボードがドローしたことにより、
5ポイントで一気に入賞圏内へと入ってきました。

Bクラスでは、杉本さん(1952)を破った元東北大学
ホワイトナイツの蒔田さんが、4.5ポイントで
Bクラス2位以下に大きな差をつけて1位。そして
Bクラスで争っていた雨宮杏奈さんと北野亨さんが
負けたことで、蒔田さんのBクラス優勝が確定しました!


権田さん(左)と羽生さん(右)の検討の様子。
後ろは東芝さん(左)とLewisさん(右)。


FINAL ROUND ペアリング

1番ボード: 南條(7) - 東芝(5)
2番ボード: Alex(5) - 権田(5.5)
3番ボード: 羽生(5) - 山田(4.5)

最終ラウンドは、1番ボードで南條さんが東芝さんを
迎え撃ちます。東芝さんは、入賞するためには黒番で
南條さんからポイントを奪う必要があり、かなり苦しい状況に。

2番ボードまで上り詰めたAlexさんは、自力で
入賞するチャンスを手に入れました。全日本では
14位タイと不調、オリンピアードの権利が下りてくる
可能性が限りなく低い彼は、権田さんを倒して
入賞とオリンピアードの切符を目指します!

3番ボードで指す羽生さんも、まだ2位入賞の目が
残っています。1.e4と指すのなら、山田さんの堅い
フレンチと対峙することになりますが。。。
山田さんも、2連敗で大会を終えるつもりはまったく
ないでしょう。この試合も、大熱戦になる予感がします。

最終ラウンドは2時から始まる予定です。
皆さん、Good Luck and Have Fun!!

FINAL ROUND


全勝優勝をかけて、南條さん(右)が東芝さん(左)と対決!!

最終ラウンドが始まりました!1番ボード、南條さんの
初手e4に対し、東芝さんが選んだオープニングは
日本初のプロチェスプレーヤー、小島慎也さんが
愛用するカロカン・ディフェンス。フレンチに似た、
手堅いイメージが強い定跡です。南條さんは、
全勝優勝するためにこれを打ち破らなければいけません。

2番ボードのAlex-権田戦は、Alexさんが非常に
ユニークな駒組みをしています。複雑な試合を
好むAlexさんと、オーソドックスな展開が
得意な権田さん。対照的なプレイスタイルを
持つ、この二人の試合も要注目です。

3番ボードは、羽生さんが山田さんのフレンチに
真っ向勝負を挑みました。絶対的な堅さを
誇る山田さんのフレンチを、羽生さんは破ることが
できるのでしょうか?この試合はポジショナルで、
比較的穏やかな試合展開になると思います。

FINAL ROUND PART 2

1番ボード、南條さんが東芝さんのカロカンを粉砕し、
見事全勝優勝を成し遂げました!!!!羽生さんを含む
日本トップクラスの強豪が揃いに揃ったこのジャパンオープンで、
全勝優勝という偉業を達成した南條さんには、全日本チャンピオンと
並ぶ日本最高の名誉が与えられます。この全勝優勝は、
少なくともこの先10年は語り継がれる伝説の記録となるでしょう。
Shinはこの記録を「大田区産業プラザの奇跡」と名付け
オリンピアードの切符を手にした南條さんには、来年
開催地のノルウェーで大暴れしてきてもらいたいと思います!
下の局面は、南條さんが全勝優勝を決めた決勝タクティクスです。


4、5番ボードは松尾さん、塩見さんの2200台コンビが勝利!
二人とも5.5pt/8という好成績でフィニッシュしました。

2、3番ボードは共に熱戦の模様。Shinが見た限りでは、
権田さんと山田さんがやや指しやすそうです。

南條さんが勝ち、Shinが更新した後に、羽生-山田戦がドロー
なったようです。これで羽生さんは5.5ポイント、山田さんは
5ポイントで大会を終えました。つまり、単独2位は6ポイントに
手が届く、Alexさんか権田さんの二人に絞られたことになります。

FINAL ROUND フィナーレ

注目のAlex-権田戦は、中盤から自陣の中で
駒の位置を改善するマヌーバリング合戦に。
しかし、権田さんの駒組みに僅かに生じた不協和音を、
Alexさんは見逃しませんでした。ナイトを敵陣に送り込む
妙手でエクスチェンジアップとなり、攻め手を緩めず
鋭い手を連発したAlexさんが、大熱戦の末に
権田さんを下し、6pt/8で単独2位。南條さんに次ぐ、
2枚目のオリンピアードへの切符を手にしました!

7番ボードでは、もう一つのドラマが待っていました。
Bクラス優勝を7ラウンド終了時点で決めていた
蒔田さんが、元全日本チャンピオンの中村龍二さんを
破るという快挙!5.5pt/8という超好成績で、なんと
3位タイに滑り込みました!2試合のみしか指されていない
例会を観戦に行くほどチェスが好きな彼ですが、
今大会の成績は好きこそ物の上手なれということわざを
自ら証明したように思えます。

まだ残っている試合もありますが、上位陣の結果は大体
出揃ったということで。。。最終的な順位はこちら!

1位 南條遼介 8pt/8

2位 Alex Averbukh 6pt/8

3位 羽生善治 松尾朋彦 塩見亮 権田源太郎 蒔田浩士 5.5pt/8

~表彰式~

三日間の大激戦だったジャパンオープンも、ついに
その幕と閉じる時が来ました。表彰式には、
飲みに全勝優勝を果たした南條さんを祝福しようと、
元全日本チャンピオンの馬場雅裕さんなど、日本チェス界の
ビッグネームが続々と集まってきています。


3日コース入賞者!左から松尾、蒔田、Alex、南條、
羽生、塩見、権田(敬称略)



Aクラス入賞者!左から吉村、蒔田、倍井(敬称略)


Bクラス入賞者!左から北野、蒔田、原下(敬称略)

1日コースは、Philipp Orglerさんが4戦全勝!
FIDEレート2192の実力を存分に見せつけ、
他の参加者達を圧倒しました。


1日コース入賞者!

最後に

参加者の皆さん、観戦勢の皆さん、そしてこのページで
大会を追ってくれていた皆さん、お疲れ様でした!!
今大会はあの羽生善治さんが参加したのと、オリンピアードの
権利が絡むということで、いつもより注目が集まったと思います。
南條さんの歴史的な全勝優勝や、下位が上位を苦しめる
アプセット祭り、そして観戦勢の星、蒔田さんの大躍進など
話題に事欠かなかった今年のジャパンオープンは、海の向こうで
速報を出していたShinにとって非常に楽しい三日間でした。

この三日間、Shin Uesugi's Pageには、毎日
普段より遥かに多い200を超えるアクセス数がありました。
当然この中には、チェス大会に出たことのない人や、
まったくチェスを知らない人達もいたのではないかと
思います。もしその人達の中で一人でもShinの
速報を読み、チェスやチェス大会に興味を
持ってくれたのであれば、これほど嬉しいことはありません。

チェスは日本ではまだマイナーな競技ですが、最近は
大会の参加者も増え、観戦勢(将棋で言うところの観る将
という、チェス大会そのものに魅力を感じる人達も
出てきました。運営も大会ごとに改善され、今大会は
さほど大きな問題も起こらず進行していたようです。
これらの事から見ても、日本チェス界がいい方向に
向かっているのは確かでしょう。

次の主要な大会は12月23日のクリスマスオープンですが、
今週末の11月10日(日)には今大会の運営スタッフ、そして
チェスのコーチ業を幅広く手掛ける上原慎平さんが
主催する大江戸チェスの会の大会、大江戸スカイオープン
開かれます。これはJCAレートが付かない非公式戦
なので、腕試しには最適の場と言えるでしょう。

Shinの2013ジャパンオープン速報は、以上を
もちまして終了いたします。入賞者の皆さん、そして
全勝優勝の南條さん、本当におめでとうございます!!
では皆さん、明日からまた1週間が始まりますが、
Good Luck and Have Fun!!

~おしまい~



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