By Shin Uesugi

皆さんこんにちは!今日(日本時間では昨日)書かれた
小島さんのブログを読んで、個人的に色々思ったことが
あったため、今回の記事では日本チェス協会(以後JCA)
ついて書いています。ちなみに、ここで書いているものは
あくまで1プレーヤーとしての個人的な感想ですので、
面白そうな読み物として読んでいただけたら嬉しいです。

~目次~

順位問題

JCAを「ブランド」として考える

ケーススタディー:何故スタッフ達はミスを犯したのか

簡単なものではない

その他のアイデア

最後に

順位問題

毎度のことながら、今朝ベッドから起き上がってiPhoneの
ツイッターアプリを起動したShinは、次のようなものを目にしました。



何が起こったのか分からないままツイートを遡ってみると、これらは
小島さんが書いたブログ記事に対しての反応でした。
記事を読むと、どうやら最近行われたジャパンリーグで、
スタッフがタイブレーク順位の発表ミスをしてしまったようです。
そのミスのせいで、ジャパンリーグでは本来1位のはずだった
小島さんが2位として表彰され、賞金は山分けですが
彼は2位の盾を持って帰ることになりました。

更に、JCAが順位ミスを小島さんにメールで連絡、
1位として表彰された南條遼介さんと盾を交換してくれ
と指示するなどといった驚きの対応や、何の説明もなく、
まるで何事もなかったように小島さんが1位となっている
結果を
東京チェスクラブに載せるといった行動がまずく、
ツイッター勢の興味を引いてしまったことから問題が
大きくなってしまったみたいです。

実はJCAの順位発表ミスは今年5月、
全日本チャンピオンや来年行われるチェスオリンピアード
代表選手を決める、全日本選手権でも起きていました。
その時は4位のはずだった権田源太郎さんが
5位として発表され、混乱を生んでしまったようです。
JCAのサイトではちゃんと権田さんが4位と訂正されていますが、
JCA主催の大会結果を載せている東京チェスクラブの
記録では、未だに権田さんが5位となっています。

JCAの大会運営の不手際は、Shinがカバーした
女子選手権でも起きています。年に1〜2回くらいなら、
まだ大目に見てもいいと思いますが、全日本選手権、
女子選手権、そしてジャパンリーグといった日本屈指の
ビッグトーナメントで立て続けに問題を起こしてしまうのは、
さすがにまずいと思います。

JCAを「ブランド」として考える



日本のチェスサイト(Shinのページも)やブログ、ツイッターでは
「JCA」という言葉が頻繁に使われています。
ですが、日本チェス協会及びJCAとは、一体どのような
ものなんでしょうか?
公式ページから抜粋すると。。。

日本チェス協会は日本のチェス界を代表し、
国際チェス界の一員として参加するために1967年
日本チェストーナメント協会として設立されました。
1968年国際チェス連盟により、75番目の加盟国
として日本の加盟が認められ、同年10月1日、
日本チェス協会と名称を改め、日本を統括する
組織として、正規に発足しました。日本国内に
日本チェス協会と対立または並立する正規団体はありません。


色々と書いてありますが、要するにJCAとは
「世界チェス連盟から認められた、日本唯一の
正規のチェス団体」ということですね。

ただ、JCAに関する投稿や記事を読むと、
JCAは少なくとも二つの物から成り立っているという
ことが分かります。その二つとは。。。

  • JCAのスタッフ達

  • JCAというブランド

  • です。

    JCAのスタッフ達が何を指すかは一目瞭然ですが、
    JCAという「ブランド」とは何でしょう?
    Wikipediaは、ブランドを

    ある財・サービスを、他の同カテゴリーの財や
    サービスと区別するためのあらゆる概念


    と定義しています。ここから考えると、JCAというブランドが
    何かというのが、自然と見えてくると思います。



    例えば、全日本選手権で優勝することに大きな意味が
    あるのは、世界チェス連盟に認められたJCAという組織が
    主催しているからです。仮に地方のJCAに所属していない
    チェスクラブが「日本一強いプレーヤーを決めるチェス大会」を
    開き、そこで優勝したプレーヤーが「俺が日本で一番強いんだ!」
    とアピールしても無視されるだけでしょうし、オリンピアード
    などといった国際大会に出場することもできません。
    JCA主催の選手権で優勝することに大きな意義があるのは、
    JCAが持つ「ブランド」のおかげだと言えるでしょう。

    JCAのスタッフ達が立て続けに大会運営で失敗して
    しまったことや、過去の色々な出来事のせいで、JCAを
    批判している人は少なくありません。そういったことから、
    新しい組織を作って将来的にJCAを取って代わろう
    といった動きをちらほら見かけます。これはShinの
    個人的な意見ですが、ShinとしてはJCA自体を
    なくす必要はまったくなく、JCAという「ブランド」を
    キープしつつ、スタッフや運営の仕方を改善する
    ということに焦点を当てた方がいいと思います。

    最近の大会でのミスは完全にJCAのスタッフ達の
    責任で、JCAというブランド自体に非はありません。
    このままスタッフ達が失敗を続け、今回のジャパンリーグの
    時のようにそれを隠蔽し、誠意ある対応を行わなければ
    JCAのブランドの価値も下がるでしょうし、日本でのチェスの
    普及の妨げにもなるでしょう。なので、次の章では
    具体的に運営の仕方を改善するアイデアを見ていきたいと思います。

    ケーススタディー:何故スタッフ達はミスを犯したのか

    運営を改善するとはいっても、具体的にはどのような
    ことをすればいいのでしょうか?まず、上記のミスは
    JCAのスタッフ達に非があるので、何故これらの
    ミスが起こってしまったのかを検証してみましょう。

    〜全日本選手権編〜

    全日本選手権では、入賞者のタイブレークを決める際、
    byeが少ない方を上位にするという規定があります。
    コンピューターが算出したタイブレークでは、渡辺暁さんが
    4位と表示されましたが、渡辺さんはbyeをしていたため、
    コンピューターのタイブレークで5位と表示された権田さんが
    4位となるべきでした。しかし、スタッフ達はコンピューターが
    出した結果のまま表彰式を行ってしまいました。

    〜全日本女子選手権編〜

    女子選手権に出場したある選手が、集合時間に
    会場にいなかったため、スタッフはその選手抜きで
    コンピューターを使い、ペアリングを組みました。
    しかし、その選手が遅れて到着したことで、急遽
    ペアリングを組み直すことに。組み直した時に
    入力ミスがあり、コンピューターが間違ったペアリングを
    出してしまいました。時間も押されていたせいか、
    スタッフはペアリングの不自然さに気づかずそのまま
    試合開始。参加者によると、この大会では他にも
    問題が起きてしまったようです。

    〜ジャパンリーグ編〜

    まだJCAが説明を出していないので、何が
    起こったのかを完全に把握することはできませんが、
    今年のジャパンリーグはいつもとタイブレーク方式が
    違ったようで、従来の方式なら南條さんが1位になるべき
    でした。なので、参加者は不審に思わなかったそうです。
    ちなみにShinも自分で計算しましたが、確かに従来の
    方式なら、南條さんの方が0.5ポイント上回っていますね。
    この時点で推測できるのは、従来のタイブレーク設定を
    されたコンピューターの結果で南條さんを1位と表彰、
    何かの拍子でタイブレーク方式を変えたのに気付き、
    再度結果を出したら小島さんが1位となった、というところでしょうか。

    この3ケースで、キーワードを一つ挙げるとしたら、
    それは「コンピューター」と言っていいでしょう。
    元々JCAのスタッフ達は、手書きのカルテなどを
    使って手動でペアリングを組んだり、結果を
    出していたりしていました。しかし、技術の
    進歩により、コンピューター等でペアリングを組んだり
    したほうが遥かに効率がいいので、JCAのスタッフ達は
    コンピューターを使った運営をすることに。
    このアナログ→デジタルという移り変わりに
    ついていけないスタッフ(達)がいることが、これらのミスの
    一因であることは間違いないと思います。



    簡単なものではない

    ただ、今までやってきたことからいきなり新しい
    ことをさせられるのは、意外と難しいはずです。
    JCAのスタッフ達を責めるばかりではなく、どうすれば
    運営を改善させられるか、考えてみましょう。
    今回はSwiss-Managerというソフトを使ったようですが、
    Shinは早速お試しバージョンをダウンロードしてみました。



    ご覧の通り、タイブレーク方式の数だけでも山のようにあり、
    それ以外の入力事項もかなりあります。Shinが最初に
    これを見た感想は、「あ、これ自分には無理だ」でした(笑)。
    英語が普通に読めるShinでもこの反応ですから、この
    ソフトを使いこなすためにはかなりのTD経験や練習を要するはずです。
    ちなみにTDとは「トーナメントディレクター」の略。チェス大会を
    運営している人達のことを指しています。

    ですが、日本にもSwiss-Managerを使いこなしている
    人材がいるのも事実です。例えば
    函館チェスサークル
    講師である山田明弘さんは、Swiss-Managerの
    経験が豊富な一人です。山田さんも忙しいでしょうが、
    Swiss-Managerの使い方について質問があるのなら、
    彼のような知識がある人間にコンタクトを取ってもいいのでは
    ないでしょうか。そういえば、昔Swiss-Managerの操作マニュアルが
    公開されていましたが、今は閲覧できないようになっていましたね。

    もう一つ思ったのは、Shinがレポートしたサマーオープン
    では、コンピューターを使用したペアリングや結果などが、
    ミスなく発表されています。つまり、JCAのスタッフ達の中には
    こういったソフトを使いこなすことができる人材がいるのでは
    ないでしょうか?もしそうなら、そのスタッフ(達)がJCAスタッフ
    講習会みたいなものを開き、ソフトの使い方を教え、練習
    する場を作ることができるのではないでしょうか?
    Shinは、Swiss-ManagerなどのTDソフトは
    非常に難しいものだと思っています。重要なのは、
    最初から完全に使いこなせるということではなくて、
    自分が分からないことを把握して、他人から助けを
    もらいながら、練習して使いこなせるようになる
    ということですよね。

    その他のアイデア

    TDソフトについてはこのくらいで、他の運営に関する
    アイデアを見ていきましょう。

    〜ミスを隠さない〜

    まず、「ミスを隠さない」というのはかなり重要なこと
    だと思います。例えば今回のジャパンリーグでは、
    最終的なタイブレークで1位となった小島さんよりも、
    表彰式で1位の盾をもらった南條さんが優勝したという
    イメージが強かったのではないでしょうか。すぐにばれるミスを
    隠そうとするより、ホームページなどで「順位発表で
    ミスがあり、実際は小島さんがタイブレークで1位と
    なりました」などとして訂正した方が、好印象ですよね。

    一応同率優勝ですし、二人とも日本を代表する
    トッププレーヤーなので、1位の盾2位の盾とか細かいことは
    あまり気にしていないかもしれませんが、やっぱり
    順位をちゃんと発表するのは大事なことでしょう。
    もし海外在住の方と盾を交換することになったら、
    送料やらでややこしくなりそうですし。

    〜ツイッターで告知〜

    他には、JCAのツイッターアカウントを作ってみるのは
    どうでしょう。JCAの告知には時々ミスがありますが、
    ツイッターを利用することで、それに気付いたプレーヤー達が
    迅速にリプライを飛ばし、即座に修正するという使い方が
    できます。更に、JCA主催の大会のエントリーリストは
    東京チェスクラブの
    お知らせ掲示板で公表されて
    いますが、現時点では熱心なプレーヤーが大会間近に
    それをチェック、エントリーリストが公表されたのを
    確認してからツイッターや他のSNSで告知しています。
    もしJCAがツイッターなどのアカウントを作り、お知らせ掲示板や
    ホームページと連動させれば、プレーヤーの情報収集に
    役立つし、何よりJCA主催の大会の宣伝が容易になるでしょう。



    〜選手の名前はミスなしで!〜

    ジャパンリーグの棋譜は、こちらで公開されました。
    ハイレベルな大会の試合は見ても面白いし、勉強にも
    なるので、手間はかかるでしょうがこうやって棋譜が
    公開されるというのは素晴らしいことだと思います。
    ただ、所々で選手の名前を間違えて書いてしまって
    いるのはマイナスでしょう。女子選手権の棋譜も、
    名前が間違って入力されていたようです。大会に登録する時に、
    英語表記も加えて書いてもらったら、このような
    ミスは減ると思います。ジャパンリーグのようなFIDE戦は、
    思い切ってペアリングから選手の名前を英語で表記
    してもいいかもしれません。それなら、大会の途中で
    ミスが発覚しても、後で直せばいいだけですしね。

    最後に

    とりあえず、今の段階で思いついたのはこれくらいです。
    この他にも改善点はまだまだあるはずなので、それを
    ちゃんと指摘して、どうやって改善していくかをJCAの
    スタッフとプレーヤー達が話し合い、共に日本チェス界を
    盛り上げていくようになればいいですね。
    最初にも書いたように、この記事は今のJCAに関して、
    Shinの個人的な意見と感想を書いたものです。
    中には意見の合わない人もいるはずですが、その辺は
    十人十色ということで許してください(笑)。
    では皆さん、また次の記事まで、Good Luck and Have Fun!!

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