〜Shinのバグハウス講座 サクる〜

By Shin Uesugi

皆さんこんばんは!Shinは昨日、新年チェス大会に
観戦勢として参加し、検討室でバグハウスを10数試合ほど
プレーすることができました。そのおかげで、新しい
バグハウス講座を書くモチベーションが上がったので、
今回はバグハウスで攻めを作るために重要な、
サクリファイスについて書いていきたいと思います。


バグハウスを楽しむ検討室の面々

サクリファイスとは、ご存じの通り、駒を犠牲にして
それなりの代償を得ること。チェスでもよく出てきますよね。
バグハウスでは駒を打つことができるため、強力な攻めを
作ることができます。そのため、相手キングを危険な位置に
おびき寄せる、早い段階でのf2、f7サクリファイス
非常にポピュラーな戦法と言って良いでしょう。Shinが
昨日指したバグハウスの試合でも、f7にサクってくる
プレーヤーが多くいたのも目に留まりました。

では、以下の手順を見てみましょう。

1.e4 e6
2.Nf3 d6
3.d3 Nc6
4.Ng5 Be7
5.Nxf7 Kxf7



この局面では、白はNxf7とナイトをサクり、
黒キングを不安定にすることに成功しています。
しかし、これは既に黒勝勢と言っても過言ではありません。

基本的に、f7へのサクリファイスを成功させるためには、
クイーンやルークなどといった大駒の存在が必要不可欠です。
しかし、ここではまだ5手しか進んでおらず、黒がパートナーに
「クイーン交換無しでお願いします」と言えば、パートナーが
クイーンを交換しない手順を選ぶのは容易でしょう。
更に、万が一パートナーがクイーンを取られそうになっても、
守る側が速く打つことによって、「待て」という作戦を
使うことが可能となります。サクリファイスを対処するためには、
速く打つことと、パートナーとコミュニケーションを取ること
最も大事なのです。

バグハウスとチェスはまったく別物と捉える人もいる
かもしれませんが、実はチェスで常識とされている
原則は、バグハウスでも当てはまります。
Shinが昨日指した試合では、上の局面から
次のように進みましたが。。。

6.Qf3+ Nf6
7.N@g5+ Kg8



白は気持ちよく攻めているように見えますが、
ここから攻めを続けることは意外と難しく、
パートナーからもっと駒をもらわなければ
攻め切ることができません。ここからShinは、
Nd4などとして展開の遅れた白陣に反撃を
開始し、難なく勝つことができました。

バグハウスで重要となる、チェスから学べる原則は

駒を展開する
同じ駒を何度も動かさない
序盤でクイーンを動かさない


だと、Shinは思います。

上記の試合では、白は攻めるために
ナイトを3回(f3-g5-f7)動かしていますよね。
このせいで白の駒の展開が遅れ、黒の
カウンターに対処できなくなってしまいました。
そして、最初の図ではN@g5とする筋を作るため、
白は6.Qf3+としなければならなかったのが
分かるでしょうか。サクったナイトを無駄死に
させないようにした手ですが、これが更に
白陣の展開を遅らせています。

更に、忘れてはならないのはパートナーの存在です。
チェスでは駒を犠牲にしても、自分がそれだけの
代償を得ればいいだけですが、バグハウスでは
自分がサクった駒がパートナーに返ってきます。
上記の試合では、黒が5...Kxf7とした時点で、
白のパートナーは駒損の状態で戦わなければいかず、
白は自分とパートナーが駒損しただけの代償を
得なければいけません。このため、バグハウスでは
駒をサクることによって得るポジショナル・アドバンテージと
いったものが少なく、駒をサクるのなら、犠牲にしただけの
マテリアルを得るか、チェックメイトまで読み切る必要があります。

サクリファイスを成立させるためには、自分が既に
持っている駒と、パートナーの局面を見て、
どの駒が渡ってくるかを把握し、それを元に
検証しなければいけません。上記の試合では、
白がクイーンを持っているか、パートナーから
クイーンが渡ってくる可能性が高いのなら
Ng5-Nxf7は成立するでしょうが、もしそうでないなら
Be2から0-0として、駒の展開をする方が良いでしょう。

では、次の局面をご覧ください。


After ...c6。白番

この局面では、両者とも展開を終え、駒損もなく
試合は中盤へと入っていきました。レッスン3でも
扱いましたが、このように大駒が相手に渡っている
場合では、常にサクリファイスの可能性を考慮
しなければいけません。ここで白が指した手は。。。


Qxg7+!!

この手は、白とそのパートナー両方がクイーン損
なる手ですが、白は自分の持ち駒を見て、
チェックメイトまで読み切っています。

1.Qxg7+!! Kxg7
2.N@f5+ Kg6
3.Q@g5#


チェックメイト!!

では、この局面ではどうでしょう。


After ...Ng4。白番

黒は、Ng4として攻めを狙っていますが、
駒の展開をする前にナイトをもう一度
動かしたせいで、白にサクリファイスを使った
タクティクスを決められてしまいます。その手とは。。。

1.Bxf7+!!


一時的に駒損するが。。。

1... Kxf7
2.B@h5+!!


チェックナイト取り!!

白(とパートナー)は結果的にポーンアップとなり、
黒のキングは不安定のままです。もし黒が
d7-d6としてg4の地点に紐を付けたり、
0-0としていればこのタクティクスは決まらなかったの
ですが、攻め急いでNg4としてしまったため、
劣勢に立たされてしまいました。

チェスでもバグハウスでも、サクリファイスを
綺麗に決めて勝つのは非常に気持ちいいものです。
しかし、バグハウスでは自分のサクリファイスが
パートナーに迷惑をかける可能性があり、
より慎重になる必要があるでしょう。チェスの
原則と照らしあわせ、そのサクリファイスが
本当に自分(とパートナー)の得になるのかを
検証することができれば、貴方のバグハウスの
実力は飛躍的に伸びるはずです。では皆さん、
また次の記事まで、Good Luck and Have Fun!!

ツイート

記事へ戻る

inserted by FC2 system