〜Shinのバグハウス講座 キャスる〜

By Shin Uesugi


バグハウスを楽しむ現世界ランク2位のL.Aronian(右手前)
Photo from Bughouse.info


皆さんこんばんは!前回はサクリファイスについて
見ていきましたが、今回の記事ではバグハウスでの
キャスリングの是非、そしてキャスリングをしたキングの
攻め方と守り方を説明していきたいと思います。

キャスリングの是非

バグハウスで、キャスリングをするのは良くない
巷では、こんな言葉をよく耳にします。確かに、
持ち駒が使えるバグハウスでは、自分のキングを
盤の端に追いやるのは自殺行為に見えるでしょう。
しかし、上級者はキャスリングをしないことで生じる
リスクの方が、キャスリングをすることで生じるリスク
より高いと考えており、上級者同士の試合では
両者ともキャスリングをしていることがほとんどです。

キャスリングをすることで得られる大きなメリットは。。。

1.f2、f7の守りを強化できる
2.相手の戦力を分断できる

の二つと言えるでしょう。

1は、分かりやすいと思います。前回の記事の最後の
局面は、以下のようなものでしたね。


After ...Ng4。白番

ここで白は1.Bxf7+!!とし、1...Kxg4の後に
2.B@h5+!としてピースを取り返し、優勢を築く
ことができました。このようにキングが中央に
いる局面では、どうしてもf2、f7に対する攻めが
残り、自ら攻めを作ることが難しくなってきます。
しかし、キャスリングをすればルークが「死のマス」を
守ることができるので、センターを開くなどといった
攻めの可能性が広がるでしょう。

2は、少し分かりにくいかもしれません。
キングが中央にいる局面で、最もポピュラーな
攻め方はf2、f7を狙うものです。例えば
白はBc4やNf3-g5などとしてf7の地点でサクり、
パートナーから渡ってきたクイーンでチェックメイトと
いう展開が考えられますね。しかし、Shinは前回の
記事で、サクリファイスが自分やパートナーに与える
影響
などについて話してきました。

チェックメイトや駒得に持ち込めないサクリファイスは
成立しないことがほとんどなので、白は自陣への
影響が少ない程度にf7サクリファイスを準備し、
パートナーから大駒が渡ってきた瞬間に
サクリファイスを実行することがベストチョイスでしょう。
しかし、キャスリングはそれらの準備を一瞬にして
無に帰すことができます。次の局面をご覧ください。



矢印で分かるように、白はf7の地点でのサクリファイスを
準備していますね。まだ5手しか指していないので
大駒が渡ってくることはないでしょうが、後数手
続けば、黒は非常に危険な状態に陥ってしまいます。

5...0-0!



キャスリングのおかげで、黒はf7の地点を完全に
守り切ることができました。キャスリングをしたキングの
急所はg2とg7のマスですが、白はf7への攻めを
準備していたため、g7への攻めが遅れてしまいます。
この局面では、c4のビショップの使い道が少なく、
白は一工夫してこのビショップを生き返らせなければ
いけません。

キャスリングをしたキングの弱点

もちろん、キャスリングをしたキングにも弱点は
存在します。その筆頭は、大駒を絡めたP@h6、P@h3
からの攻め。これに対しては、自身も大駒を駆使して
守ったり、パートナーに駒交換を抑える指示を出す
などといった工夫が必要になります。

P@h6、P@h3

では実際に、キャスリングをしたキングの攻め方を
見ていきましょう。ここでは、上の図から白がP@h6と
した局面を使います。


After 6.P@h6。この攻めの狙いとは。。。

この手の狙いは極めて単純なもので、黒キングの
泣き所であるg7を攻撃し、大駒を使ったメイトの
形を作ることです。このように、黒のパートナーが
大駒を渡せない局面を作ることで、黒のパートナーの
指し手を制限しようというもの。具体的には、
こんな形を目指しています。

6...gxh6
7.Bxh6 Re8
8.P@g7


P@h6からの攻めの基本形

黒は7手目で...Re8とする必要はありませんが、
P@g7とするとルークをf8から追い出せるということが
分かるでしょうか。大駒があればもちろんメイトに
できる局面ですが、f7の守りが外れたので、白には
Bxf7+から攻めを続けるというアイデアもあります。

もし黒が気を付けなければ、P@h6からの攻めは
大駒がなくても強力なものとなるでしょう。

6...a6??
7.hxg7 Kxg7
8.N@f5+!


f5は、黒キングを攻撃する絶好のマス!

バグハウスで、g2、g7の地点を攻撃する際のカギと
なる駒は、f4とf5にいるナイトです。上の局面では、
白にもう一つナイトがあれば、8...Kg8に対して
N@h6+からP@g7とメイトにすることができますね。


チェックメイト!

このため、攻撃されている側は常にf5の位置を
押さえる必要があり、d7-d6などといった手の
重要さが分かると思います。

エクスチェンジ・サクリファイス

P@h6からの攻めに対して最も効果的な方法は、
gxh6と取った後にエクスチェンジ・サクリファイスを
行う作戦です。バグハウス入門編でも扱いましたが、
バグハウスでの駒の価値はナイト、ビショップ、ルークが
2点。厳密にはエクスチェンジ・サクリファイスというものは
存在しないのですが、ここでは敢えてこう呼ぶことにします。

6...gxh6
7.Bxh6 Ng4!


攻防のナイト!

パートナーの試合でクイーン交換が行われそうでないなら、
Bxh6に対してはNg4!とする手が好手。h6のビショップを
攻撃し、将来的な白のN@h6+とする手も牽制しています。
更に、隙あらばNxf2からのカウンターも狙っている、
一石三鳥な手というのが分かるでしょうか。
白は、ビショップを戻すと黒にテンポを取られて
しまうため、f8のルークを取る一手ですが。。。

8.Bxf8 Qxf8


白の黒マスビショップが消えたことで、f4の地点ががら空き!

白の攻め駒が消え、Nxf2などといった攻めを
狙える黒が主導権を握りました。黒マスビショップの
いない白は、N@f4などといった手を心配する
必要もありますね。黒はgファイルが開いたことを
利用して、Qg7からg2のポーンにプレッシャーを
かける戦い方もできるでしょう。この局面、
黒はまったく問題ないと思います。

では、最後に問題を一つ。この記事で扱った局面に
似ていますが、黒はこの局面でどう指すべきでしょうか?
ヒントは、キャスリングをしていない白キングです。


After 6.P@h6。黒番。

では皆さん、また次の記事まで、Good Luck and Have Fun!!

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