〜チェスニュース Vol.2 年末エディション〜

By Shin Uesugi

皆さんこんばんは!今回の記事が、Shin Uesugi's Pageの
2013年最後の更新となります。今回は、12月後半の
日本チェス界のニュースをまとめたものを書くことにしました。

2013ワールドユースチェス選手権

12月18日からドバイで行われたワールドユースは、
28日にその幕を閉じました。日本から参加した
代表選手7名の結果は以下の通り:

阿部 真大 (U16) 5pt/11 パフォーマンス:2021
ヒーバート ケンジ (U14) 6pt/11 パフォーマンス:1693
大多和 優斗 (U12) 5pt/11 パフォーマンス:1647
星野 華怜 (U12) 6.5pt/11 パフォーマンス:1553
泉 遙貴 (U10) 5.5pt/11 パフォーマンス:1309
ボードワン 慧 (U10) 4.5pt/11 パフォーマンス:1471
星野美怜 (U8) 4.5pt/11 パフォーマンス:935

国際大会の経験が皆無のプレーヤーもいる中、
日本チームは全員が4.5ポイント以上を獲得と大健闘。
Shinが初めて出場した国際大会(ワールドジュニア)の
結果が4pt/13だったことを考えると、今回の結果は
立派なものだったと思います。

選手個人の努力もあるでしょうが、日本チームの
コーチとして同行したGM Misha Stojanovic氏の
存在も忘れてはいけません。Shinはオリンピアードに
出場した時に彼のコーチングを受けましたが、彼のとても
丁寧な教え方と温厚な人柄に惹かれる人は多く、
今回のワールドユースでも選手達の彼に対する評価は
相当高かったようです。

この7人の代表選手達は、いずれ未来の日本チェス界を
背負って立つようなプレーヤーに成長してくれることでしょう。
Shinは今後も、彼らの活躍を見守っていこうと思います。
今年のワールドユースの軌跡は、ケンジ君のお母様の
ブログから見ることができます。ワールドユースに関する
貴重な情報源となるはずなので、来年以降の参加を検討
されている方は、必ず読んでおきましょう。

全日本学生選手権

12月27-28日の二日間にわたって行われた
全日本学生選手権には、前年の41人から3人増えた
44人が参加しました。プレーヤーの数も凄いですが、
観戦勢として参加した方達も多く、その中には
プロチェスプレーヤーのIM-elect小島さんや
日本ランカーの南條さんなどといった、そうそうたる
メンバーの姿が見られました。


この二人の対戦はなかった模様。。。

そして由緒ある学生選手権を、見事単独で
優勝したのは慶應大学の小林厚彦君!!
2位と3位には、5ポイントを獲得した佐藤要さんと
中村尚広さんが滑り込みました。


左から中村、小林、佐藤

5.5pt/6と、他を寄せ付けない強さで優勝した小林君の
強さの秘訣は、なんといってもマヌーバリング1のうまさでしょう。
今大会では、ほぼ互角の局面からピースの位置を改善し、
じわじわと優勢を築いていたのが印象的でした。
マヌーバリングのレクチャーを行っているというのも納得ですね。
小林君は今大会のレポートを慶應チェスクラブのブログ
書いているようなので、気になった方はこちらもチェック
しておくことをおすすめします。

今大会で起こったアプセットの多さは、学生チェス界の
層の厚さを再認識されてくれたと言ってもいいでしょう。
1ラウンドでは、リスト1位と2位が約レーティング800下に
ポイントを落とすというアプセットが起こりました。特に
1番ボードの桑田-杉田戦は、最後にクイーンサクリファイス
勝負が決まるという、エキサイティングな試合だったと思います。
この試合の棋譜は「奇跡の記録」として、杉田渓さんのブログ
公開されているので、是非一度目を通してみてください。

前年の三村旋風を思い出させてくれるような東北大学の
島岡良登君や、全体で5位、最終戦では
1番ボードまで上り詰めた上智大学の岸川和馬君の
活躍もあり、今年の学生選手権は去年以上に
観戦していて面白い大会でした。

1 - マヌーバリングとは、自陣の中で駒の位置を改善していくこと。

North American Open


Photo from http://www.northamericanopen.com/

ラスベガスで行われた第23回North American Openには、
日本から吉村謙治さんと唐堂君が参戦しました。
二人とも、FIDEレートを上げるために強豪がひしめくU2300
セクションに参加し、唐堂君は4.5pt/7を、吉村さんは
2.5pt/7を獲得。特に唐堂君はFMを破るなどと
大活躍、賞金まで後一歩というところまで迫ってきていました。
最終結果は、このページから見ることができます。

アメリカには高額賞金が出る、魅力的な大会が多いので、
海外大会参加を検討している方達は、是非アメリカの
大会の情報をチェックしてみてください。

Cracovia 2013


エクスチェンジ・サクリファイス!!

現在ポーランドで行われているこの大会には、なんと
将棋のスーパースター、羽生善治3冠が参加しています!
羽生さんは3ラウンド、FIDEレート2561のGMを
エクスチェンジサクリファイスで粉砕し、現時点では
3.5pt/5と好成績を残しています。試合の生中継は
このページで行われており、それらの試合は小島さんの
ブログで詳しく解説が書かれているので、
羽生さんのファンは見逃さないようにしましょう!

GMアニッシュ・ギリの同時対局


Photo from アニッシュ・ギリ公式HP

学生選手権と同時期に、世界ジュニアNo.1のGMアニッシュ・ギリ君が
函館に来日、函館チェス教室の生徒達と同時対局を
行いました。2700クラスのプレーヤーが、このように日本で
チェスのイベントを行うことは数少なく、首都圏以外で
そのようなイベントが行われることはほぼないと言っていいでしょう。

これが実現したのは、アニッシュ君の日本語版公式HPの
管理人である山田明弘さんのご尽力や、アニッシュ君が
現在住んでいるオランダで行われたUnive Openに
参加し、アニッシュ君との交流を深めた日本の
トッププレーヤーの一人、山田弘平さんの活躍が
あってのことでしょう。今回のイベントでは北海道新聞の方が
取材にこられたようで、その記事がこちらにアップされています。

最後に

2013年は、日本チェス界にとって飛躍の年だったと思います。
全日本選手権を制し、日本チェス界に大きな影響を与えた
池田惇多君の来日、歴史的な参加者数を記録した
チーム選手権、羽生さんが出場したジャパンオープンで
全勝優勝を果たした南條さんの活躍、IMノームを
3つ獲得し、IM-electとなった小島さんの武者修行。。。

何より、チェス大会そのものに魅力を感じ、
チェスプレーヤー間での交流を楽しむ観戦勢
増えてきたのも、日本チェス界にとって大きなプラス
だったと思います。来年も、日本のチェスプレーヤーの
皆さんにとって良い年となりますように。。。
では皆さん、2014年も、Good Luck and Have Fun!!

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