〜Accelerated Dragon入門編4 Maroczy Bind Be3 Chameleon〜

By Shin Uesugi

こんにちは!前回はMaroczy Bindがどのような変化なのか、
そしてナイトをc2に引く狙いとそれに対する指し方を見てみました。
今回から、局面の画像を作成するのにSkitchというツールを使っています。
今まで使っていたのでは、矢印やX印を書くのが少し大変だったので。。。



今回はd4のナイトを守る、白の最もポピュラーな
指し方でもある6.Be3について説明していきます。


では、この手の狙いはなんでしょう?もちろんナイトを守る
のが一番重要な狙いですが、6.Nc2と引く変化と違い、ナイトをd4の地点に
キープし続けることで黒のドラゴンビショップの斜線を塞ぐことができています。
この手は駒をスムーズに展開する手でもあるので、6.Nc2と引いた変化で
出てきた、白が窮屈なポジションになりにくいメリットもあります。



6.Be3に対しては、二つの変化の対策を講じる必要があります。
一つはどこかでナイトをc2に引く、6.Nc2のような指し方。
もう一つはナイトをd4にキープし続ける、最もオーソドックスな指し方です。

ではまずは、6.Be3とナイトをc2に引くアイデアを合わせた、
カメレオンのような指し方を見ていきましょう。
前回で6.Nc2から派生する変化を見ているおかげで、
6.Be3としてからナイトをc2に引く意味が分かると思います。

VS


こんな感じですね。黒はキャスリング、そしてNf6-d7-c5という
マヌーバリングを準備するために、ナイトをf6に出す必要があります。
そしてドラゴンビショップの道が閉じたのを見計らって、ナイトをc2に
引くことができました。このポジションでは、黒からBxc3といきなりc3のナイトを
取る手筋が存在しないので、白はBe3-Qd2と自然な組み方をすることができます。
一つ注目してほしいのは、このポジションは6.Nc2と引いた変化からでも
トランスポーズする可能性があるということです。ちなみに
トランスポーズとは「特定の局面に、違う手順で辿り着く」
というコンセプトで、詳しいことはガイド - トランスポーズに書いています。


上記の手順は6.Nc2の変化で、白が8.Be2の代わりに
8.Be3としていたら同じポジションになっているということを描いています。

この変化の対処の仕方ですが、6.Nc2でも言及したように、
Bxc3として白のポーンの形を乱す方法が良いでしょう。
ただし8...Nd7とした後に白は9.Qd2としてナイトを守ってくるので、
黒はBxc3と取る手を実現させるために一工夫する必要があります。


黒は9...Nc5と一旦e4のポーンを攻撃した後、10...Qa5!とすることで
c3のナイトにプレッシャーをかけ、Bxc3としてポーンの形を乱す手を
可能にしています。白のポーンの形を乱した後の指し方は入門編3で
書いているので、そちらの方を見ていただけたらと思います。
このポジションは黒にまったく問題がないので、6.Be3とした後に、
ナイトをd4にキープし続ける変化を見ていきましょう。


白黒両方とも駒の展開をしてキャスリングを終え、これから
戦いが始まるという局面ですね。ここからどう指せばいいのかを
考えてみましょう。黒はまだ展開の終わっていない、c8のビショップを
展開したいのですが、いったいどこに配置すればいいと思いますか?



この図で分かるように、e6、d7、またはb7に配置することが
考えられますね。しかし、9...Be6としたらそのビショップが取られてしまうし、
Bb7を準備する9...b6ではc6のナイトが落ちてしまいます。
では最も安全に見える、9...Bd7としたらどうでしょう?


9...Bd7と指す手は、非常に自然な展開の仕方に見えます。
でも、ちょっと待ってください。少し前に、6.Be3とナイトをc2に引くアイデアを
組み合わせた、カメレオンのような変化のことを話しましたよね?
その時はどうやって対応していたんでしたっけ?

Shinの記憶が正しければ、...Nd7-c5としてドラゴンビショップの道を
開き、e4のポーンにプレッシャーをかけたままc3のナイトを取り、
白のポーンの形を乱して勝負!だったと思います。
あれ、ナイトをd7に回したいのに何か他の駒がいるぞ。。。
ここまで言ってしまえば、もう白がどう指すべきか、分かりますよね?



9...Bd7としてしまったせいで、白に10.Nc2!とされた時にするべきである、
Nd7-c5というマヌーバリングができなくなってしまいました。もし入門編3と、
この記事の最初で扱ったNc2のアイデア、それに対する対処法を
知らなかったら、何故9...Bd7が良くない手なのかを理解することは
できないでしょう。これは、一つの変化を理解することが、
もう一つの変化を理解することに繋がるという好例だと思います。

今のままではe6、d7、b7、どの位置にも白マスビショップを配置
することができません。でも、それらのマスに配置できないのは、d4にナイトが
居座っているからですよね。それなら、消しちゃいましょう。


これで、白マスビショップがe6に行けるようになり、c6のナイトが
いなくなったことでb6-Bb7、またはc6のマスが開いたことを
利用するBd7-c6といった手筋が生まれました。

さてここからどこにビショップを配置するかという話をしたいのですが。。。
毎度の通り、記事が少し長くなってしまったので、この記事は
ここで終わりとします。局面はあまり進んでいませんが、
学ぶ必要のあるアイデアがかなりあるので、時間があれば
何度も読み返してアイデアを体に染みつかせてください。
次回の予習として、この後ビショップをどこに配置するべきかを
考えるのも、いい勉強の仕方だと思います。
では皆さん、次回まで、Good Luck and Have Fun!!

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