〜Accelerated Dragon入門編5 Maroczy Bind Be3 Main Line〜

By Shin Uesugi

皆さんこんにちは!今回は、前回の記事
扱った、Maroczy BindのBe3変化を引き続き見ていきたいと
思います。ちなみに前回はここで終わっています。



c8のビショップを展開するため、9...Nxd4とd4のナイトを取り、
それに対して白が10.Bxd4と取ったところですね。
上の図で分かるように、c8のビショップは三つの行き場所があります。
ではまずは、10...Be6から見ていきましょう。


この手は、残りの二つと違い、一手でビショップが
アクティブなマスに辿り着くことができます。
更にRc8などとしてc4のポーンを狙うアイデアもあり、
d7のマスが空いているので、Accelerated Dragonの
トレードマークとも言えるマヌーバリング、Nd7-c5も可能としています。



白がBe3とする変化でも、Nd7-c5とするマヌーバリングは効果的です。
黒のドラゴンビショップは確かにとても強力ですが、白のd4にいる
黒マスビショップはそれ以上に強力と言えます。
白キングがいるg1-a7の斜線を守り、黒のドラゴンビショップの
斜線も支配していて、a7のポーンを狙い続けることにより、
黒のa8にいるルークを動きにくくしています。
...Nd7としてドラゴンビショップをd4のビショップと交換
することは、黒が得していると言えるでしょう。



こう見るとd7のマスを占拠して、Nd7-c5を遅らせる10...Bd7
より、10...Be6の方がずっといい手に見えます。本当にそうでしょうか?
黒が...Nd7としたら、e6にいるビショップの退路が断たれてしまいます。
そのことを利用して、白は何か手を作ることができませんか?


この11.f4!という手が黒にとって厄介なものとなります。
黒は手っ取り早く11...Nd7として、強力なd4のビショップを
消しにかかりたいのですが、そうすると白から12.f5!という
強烈なパンチを食らってしまいます。



e6のビショップのポジションが窮屈なせいで、黒は中々
...Nd7とすることができません。となると、白のd4にいる
ビショップにずっと居座られてしまい、黒が苦しい展開が続きます。

e6にいるビショップはc4のポーンを狙っていますが、f6にいるナイトは
e4のポーンを狙っています。黒は戦力を二つのターゲットに
分散させてしまっているので、中々カウンターを作りづらいでしょう。



なのでShinは入門編として、Bd7-c6と組み、e4のポーンに
プレッシャーをかける組み方をお勧めします。


b6-Bb7と組む方法も同じくe4のポーンにプレッシャーを
かけていますが、今月行われたチェスセンターのレクチャー
説明文を引用させてもらうと。。。

「ポーンという駒は他のピースと違い、一度前進すると
戻ることができません。さらには、その位置によって働きを大きく
変えるため、動かすときは慎重にならなくてはいけません。」


bポーンを突く手は、c6に穴を作ってしまいます。
例えば何かの拍子で白がNd5と飛び、黒がBxd5と交換
したら、c6は白のルークが侵入できる絶好のマスと
なるでしょう。更に、黒クイーンの斜線を塞いで
しまうので、Qa5とするアイデアもなくなってしまいますね。
これらの事から、10...Bd7-c6とする方が、優秀な指し方だと思います。



では、Shinのお勧め、10...Bd7を見ていきましょう。


白はe4のポーンを守るため、f3と突く手が最もポピュラーです。
ビショップがc6という比較的安全な位置にいるため、
f4-f5と突く手にあまり意味がないですしね。

白にはb4-b5と突いて、c6のビショップを攻撃する
アイデアがあったので、黒は12...a5とb4の地点を
押さえることでそれを防いでいます。Nd7-c5と回した時に、
c5の位置も安全になるので一石二鳥の手と言えるでしょう。

白は、黒にa5-a4と突かれてクイーンサイドでスペース
取られないために、b2-b3と防ぐのが一般的です。


ここでついに、Nd7-c5のマヌーバリングの出番です。
白はビショップを交換するか、交換を避けてa1-h8の斜線を
ドラゴンビショップに渡してまで黒マスビショップをキープ
するか、決断する必要があります。黒マスビショップを交換
する14.Bxg7はあまり効果的ではありませんが、初-中級者の
間なら指されることの多い手だと思います。



Shinは入門編3でMaroczy Bindを紹介した時に、
Maroczy Bindは白マスにポーンを配置する陣形になりやすいので、
黒は黒マスを使ってカウンターを作ることができると書きました。
上記の局面図が、まさにその通りのポジションです。

黒マスビショップがいなくなったことにより、白陣の黒マスが
かなり弱くなっています。黒は例えばQb6-b4として
白のクイーンサイドのポーンの前進を止め、Nc5から
a5-a4と、クイーンサイドから反撃ができるのに対して、
白は有効な手を作るのに苦労しています。
e4のポーンがc6のビショップとc5のナイトに攻撃
されてしまうので、白はf3-f4として黒のキングサイドを
攻めにくいのが分かるでしょうか?

白の白マスビショップも、自陣のポーンのせいで
動きにくいですよね。黒はポーン達が黒マスを押さえ、
白マスビショップが白マスをカバーと非常に調和のとれた
陣形に対し、白の駒は力を発揮できていません。

なので、白は黒マスビショップをキープするために
14.Be3と引くのが最もポピュラーな手です。


さて、ここからどう指すかというところですが、
どうやら時間が来てしまったようです。
いつも通り、あんまり手数が進んでいませんが、
それでもこれだけのアイデアが詰まっています。

それでは皆さん、既に始まっているようですが、
夏の大会ラッシュ、Good Luck and Have Fun!!

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