〜2013全日本チーム選手権Review〜

By Shin Uesugi

皆さんこんにちは!9月15&16日は、大田区産業プラザで
参加者100人(!?)を超えるビッグトーナメント、
全日本チーム選手権が行われていました。



まずは、結果から見ていきましょう。

優勝 慶應義塾大学OB-1
Board 1 南條遼介
Board 2 三阪晋
Board 3 石原達馬
Board 4 大澤哲也

1番ボードにJCAレート2370の南條さんを配置し、
平均レーティング2093を記録したトップシードの
慶應義塾大学OB-1チームが全勝優勝!
4ラウンドで、リスト2の麻布OBとの直接対決を
制したのが大きかったですね。

準優勝 麻布学園OB
Board 1 桑田晋
Board 2 小林厚彦
Board 3 佐藤要
Board 4 坂井延寿
Board 5 篠田太郎

平均レーティング2054、Board 1-3を2000オーバーで
固めた安定感のある麻布学園OBチームが準優勝。
慶應OB-1には敗れたものの、第3ラウンドで
平均レーティング2045の慶應OB-2を4-0で下したことは、
観戦勢に大きなインパクトを与えたはずです。

さて、結果をカバーし終わったところで、Shinが
FacebookやTwitterなどのSNSで見つけた、今大会に
ついての話題や反省点などを紹介していきたいと思います。

~台風~



全日本チーム選手権二日目は、台風18号の影響で、
一時は開催中止になる可能性がありました。最終的には
予定通り選手権を終わらせることができましたが、
参加を見合わせるプレーヤー達もいたようです。
命は結構大事なものなので、こればかりは仕方がないと
思います。ですが、この台風騒動のおかげで、日本チェス協会が
改善できる点が見えてきました。前々から言われている、
JCAのホームページの改善点です。

~JCAのホームページ~



前述の台風の影響で、チーム選手権二日目が
無事開かれるのか、棄権するチームがいた場合、
ペアリングはどうなるのか、様々な不安を抱いていた
プレーヤー達がいたことかと思います。二日目についての
情報は、運営スタッフのFacebookページなどで告知されて
いましたが、情報を載せるべきであるJCAのホームページでは、
それについて何も書かれていません。JCA主催の大会に
ついての情報は、まず最初にJCAのホームページで告知されるべきです。
Shinは、JCAがどうやってホームページを運営しているのかは
まったく分かりません。ですが、今大会のような緊急事態で、
重要な情報を届けることができないホームページ運営を
しているのなら、その運営方法を見直す必要があるでしょう。

~同一名称のチーム同士の対戦~

今回のチーム選手権でShinが面白いと思ったのは、
以下のルールについての話題です。

同一クラブからの出場チーム同士の対戦:
同じグループでも現役とOBは分けます。
二日目は同じチーム同士の対戦は避けます。


今大会は、平均レーティング2000を超えていた
慶應OB-1、麻布OB、そして慶應OB-2の三つ巴に
なると思っていましたが、このルールにより、二日目に
慶應OB-1対慶應OB-2というペアリングが組まれることが
ないという状態で大会が始まりました。慶應OB-2は
麻布OBに敗れた後、松戸Aに対してもポイントを落としてしまい、
結果的にはこのルールがなくても慶應OB-1と慶應OB-2が
対戦することはなかったでしょう。ただ、このルールにも
問題がないわけではないので、どんな問題があるのかを、
ついさっき思い浮かんだシナリオを使って見ていきましょう。

シナリオ:もし麻布OBが慶應OBとして出場していたら

今大会では平均レーティング2000超えの慶應OBチーム達に
対し、麻布OBや松戸Aなどが対抗する構図になっていました。
では、もし麻布OBが慶應OB-3として出場していたら、
一体どんな大会になっていたでしょう?二日目は
平均レーティング2000超えのチーム同士が当たらず、
2000超え3チーム VS その他大勢という状態になり、
優勝争いが面白くない大会になっていたかもしれません。
このルールのせいで、大会が面白くなくなるという発言を、
Shinはいくつか目にしました。

今大会に出場するクラブに所属するためには、そのクラブが
行った例会に一度参加するだけでいいので、極論を言えば、
強豪チームに「うちのチェスクラブとして出場してくれないか?」と
声をかけ、リスト1-10辺りまでそのクラブのチームで埋め尽くせば、
そのクラブは楽に優勝することができると思います。

では、何故JCAはこのようなルールを設けたのでしょう?
とりあえず、思いついた二つのケースを使って検証していきます。

ケース1:同じチーム同士の対戦のせいで。。。

6ラウンドの結果:
慶應OB-1(4.0) VS 慶應OB-2(4.0) 1/2-1/2
麻布OB(4.0) VS 松戸A(4.0) 1-0(または0-1)

最終ラウンドに、慶應OB-1と慶應OB-2が同士討ちを
してしまったせいで、慶應OBというクラブ(!?)の優勝が
なくなってしまいました。このケースでは、クラブから2チーム
以上出場させ、優勝を狙いやすくなるというメリットを、
同士討ちのリスクというデメリットでうまく解消している気が
するので、そこまで問題があるとは思えません。

ケース2:何としてもうちのクラブを優勝させる!

6ラウンドの結果:
慶應OB-1(5.0) VS 慶應OB-2(4.0) 1/2-1/2
麻布OB(4.0) VS 松戸A(3.5) 1-0

最終ラウンド、慶應OB-1がドローしたことにより、2番ボードの
結果を待たずして慶應OBの優勝が決まりました。
このように、同じチェスクラブが最終ラウンドに対戦した
場合、そのチェスクラブを優勝させるために予め結果を
決めておくことができます。日本のチェスプレーヤー達は
スポーツマンシップを備えている方達なので、まずこんな
ことにはならないでしょう。ですが、公平な大会運営を
するためには、このような問題が発生する可能性を
ゼロにする必要があると思います。恐らくJCAがこのルールを
設けたのは、このケースで発生する問題を防ぐためでしょう。


このルールはにメリットとデメリットがあり、一概に
良いルールとは言えないでしょう。ただ、Shinはこれらの
問題の根底には、以下のようなものがあると思いました。

「一つのチェスクラブ・サークルが、強豪達を独り占めしている」

同名チームの対戦を避けるルールによって、大会が面白く
なくなる可能性は、強豪達が優勝争いが始まる二日目で
対戦しなくていいという理由から来ています。
逆に言えば、優勝に絡んでこないチームが何チーム
出場しても、優勝争いには関係ないから大会が
面白くなくなるということはない、ということですね。
チェスクラブが強豪達を集めやすい環境というのは、

「常連とは、2012年9月1日〜2013年8月31日までの間に
当該CCが主催する例会等に1回以上参加したことのある選手を指す。」

という規定が作っているように見えます。これらのことから、
いくつか解決策を考えてみました。

解決策1:同じチームの対戦を避け、常連ルールの改善

同じチームの対戦を避けることで、ケース2で出てくる
問題の発生を防ぎます。そして、常連ルールを改善することで、
一つのチェスクラブが強豪達を独り占めしにくい環境を作ります。
具体的な改善の仕方は、「当該CCの例会等で、過去一年間の
間に公式戦を5戦以上指しているプレーヤー」のように、
公式戦を絡めることでプレーヤー達の公式戦に対する意識を
高め、チーム選手権を考察してみたで扱った、ネット活動などの
抜け道を封鎖する狙いがあるようなものが考えられますね。
ただ、OB、OGに対する規定が甘いままになるので、
OB、OGチームにとって有利な大会になるかもしれません。

解決策2:同じチームの対戦を避け、レーティング制限を設ける

同じチームの対戦を避けることで発生する、「大会が面白く
なくなる」という問題を、レーティング制限をつけることで
改善します。「レーティング2200以上を超えるプレーヤーは、
制限には2200としてカウントする」といったようなルールを
つければ、国内のトッププレーヤー達も参加しやすくなるでしょう。
常連ルールの改善と組み合わせれば、どのクラブが優勝するか
分からない、非常に面白いトーナメントになると思います。
レーティング制限を設ければ、解決策1で書いた、OB、OGチームが
有利になることもなくなるでしょう。
ただ、レーティング制限を設けているアメリカのアマチュア大会
などとは違い、チーム選手権は「日本一」を決める大会なので、
そこでレーティング制限をつけるのは、何だか変な気がします。。。


他には「各クラブ1チームのみ出場可能」と言ったものがありますが、
これはさすがにチェスの普及を妨げるものになりかねないので、
やめた方がいいでしょう。反省点ばかり書いている記事に
なってしまいましたが、日本で100人を超えるチェス大会が
行われたのは、日本チェス界がいい方向に向かっていって
いるからだと思います。開催前に混乱や不安などがあった
チーム選手権に、100人以上が集まったと聞いた時は、
正直凄く驚きました。次の主要な大会は、高額賞金が
魅力的な名古屋オープンです。この勢いに乗って、
名古屋オープンにも参加者が多く集まるといいですね!

2013全日本チーム選手権に出場した皆さん、お疲れ様でした!
そして優勝の慶應OB-1、準優勝の麻布OBの皆さん、おめでとうございます!!
では、また次の記事まで、Good Luck and Have Fun!!

ツイート

記事へ戻る

inserted by FC2 system