〜Shinのバグハウス講座 危険を察知する〜

By Shin Uesugi

皆さんこんにちは!少し間が空いてしまいましたが、
今回が3回目のバグハウスレッスンです。このレッスンで
扱うテーマは「危険を察知する」こと。持ち駒が
使え、無限の可能性を秘めているバグハウスには、
チェスより多くの危険が潜んでいます。それらを事前に
察知し、的確に対処できるかできないかで、
貴方のバグハウスの勝率は大きく変わってくるはずです。
では早速、バグハウスに潜む「危険」を見ていきましょう。

1手の重み

まずはこのポジション。手番は白番です。



互いに同じように展開し、キャスリングを終え、
白はP@h6、黒はP@h3と攻め合いを狙いました。
どちらも大駒(ルーク、クイーン)を2つずつ
持っており、ここから数手で決着がついても
おかしくない局面でしょう。

巷では、「バグハウスでキャスリングをするのは良くない」と
いう声をよく聞きますが、Shin及び強豪バグハウス
プレーヤー達の意見は「状況にもよるが、キャスリングをして
得になることの方が多い」というものです。バグハウスでは
キャスリングをした後の独特な守り方が存在し、
それさえ知っていればP@h6、P@h3などと言った
攻撃も怖くありません。

少し脱線してしまいましたが、白はここで1.hxg7と
指しました。次にQ@h8#とクイーンを打ち込む
チェックメイトを狙っています。このような局面では、
N@g6とナイトを打ってh8の地点をカバーするのが
一般的な守り方ですが、黒には持ちナイトがありません。
これで黒は受けがなくなったように見えますが。。。


絶体絶命のピンチ!!

ここで黒が指した手は、起死回生の1...R@h1+!!
このように、ルークを囮に使ってキャスリングをしたキングを
h1の地点におびき寄せ、g2取りでチェックをかける
手筋は、バグハウスならではのアイデアです。


このルーク打ちが、キャスリングをしたキングの泣き所!!

2.Kxh1 hxg2+
3.Kxg2 Bh3+!!
4.Kxh3 Q@g4#



3...Bh3+!!も、白キングをh3の地点におびき寄せる
重要な1手。黒は4...Q@g4#で華麗にチェックメイトを
決めました。白はR@h1+とする手筋を知らなかったために
負けてしまいましたが、もしそれを知っていたら
結果はどうなっていたでしょう?最初の局面で白は
どう指すべきだったのか。。。もう分かりますよね。

1.R@h8+!!



1...Kxh8
2.hxg7+ Kxg7
3.Bh6+ Kxh6
4.Q@g5#



これを見れば、黒のP@h3と攻め合いを狙った手が
早計だったのが分かると思います。強力な持ち駒が
使えるバグハウスでは、チェスより1手の重みが段違い。
では黒はP@h3とせずに、どう指すべきだったのでしょう?


P@h3では詰まされてしまう!!

ここでは攻防のルーク、R@g6!と打つ手が絶妙手!


g2を狙いながら、g7の地点を守る!!

例えばもしここで白がhxg7と取ってこようものなら。。。

2.hxg7 Rxg2+!!
3.Kh1 Rxg7



3.Kxg2は3...Bh3+からメイトがあるのでKh1と
する1手ですが、黒は隙だらけの白キングを攻める
楽しみがあり、まったく問題のない局面だと思います。

無限の可能性

では、次の局面を見てみましょう。これは、Shinが
実戦で何度も指した経験のあるものです。

1.e4 Nf6
2.Nc3 d5
3.exd5 Nxd5
4.Nf3 Nc6
5.Bb5 Bg4



さて、一見何もなさそうなポジションですが、黒の5...Bg4は
危険を察知していない、不用意な1手です。
ここで白は、とんでもない1手を指し、一瞬で
勝勢に持っていくことができます。その1手とは。。。



6.Ne5!!



パートナーがクイーン打ちでメイトにされないことが
必須ですが、クイーンを捨てるこの手が黒の息の根を
止める強力な1手。g4のビショップが攻撃されており、
Nxc6やNxf7という手もあるため、黒はクイーンを取る
1手ですが。。。

6... Bxd1
7.P@e6!!


このポーン打ちで勝負あり!!

7.P@e6!!が、6.Ne5と指した真の目的です。
この手はexf7#とメイトを狙う他、P@d7+として
クイーンを取り返す狙いを含んでおり、黒はそれらに
対応することはほぼ不可能でしょう。例えば
7...Bh5とf7のポーンを守っても。。。

7...Bh5
8.Bxc6+!! bxc6
9.P@d7+



9... Qxd7
10.exd7+ Kd8
11.N@b7#


チェックメイト!!

8.Bxc6+!!を挟み、b7にナイトを打ち込む
場所を作るのも重要な1手です。7.P@e6と
された時点での黒のベストムーブは7...Qd6と
キングの逃げ道を作る手ですが、初見でこの手を
見つけるのは至難の業でしょう。それでも8.Bxc6+から
9.P@d7とする手筋が強力で、黒は駒損を避けることが
できません。このように、チェスでは考えられないような
手が、バグハウスでは成立するのです。

レッスン2でも扱いましたが、これらの危険には
全てパターンが存在します。例えば最初の局面では
「キングがキャスリングをし、手持ちの大駒が2つ以上あり、
gポーンを攻撃している」パターン、2つ目の局面では
「黒がeポーンを突かず、黒の白マスビショップがe6の
地点をカバーしていない」パターンなど。これらは
色々と応用が利くので、是非次から実戦に
取り入れてみてください!

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