〜Accelerated Dragon入門編1〜

By Shin Uesugi

皆さんこんにちは!今回は、最近Shinがメインウエポンとして
使っているSicilian Accelerated Dragonの基本的な手筋や、
Shinがどのようなことを考えながら指しているかということを書いてみました。
Accelerated Dragonは他のオープニングと比べ、正確な手順よりかは
アイデア重視な定跡だと思います。ですが、それでも結構な数の分岐が
あるため、数回の記事に分けてゆっくりとカバーしていこうと思います。

Sicilian Accelerated Dragonとは、シシリアンディフェンスの1変化で、
Sicilian Dragonの親戚とも言えるオープニングです。Dragonとは、一般的に
g7にフィアンケットされたビショップのことを指します。シシリアンディフェンスでは
d4の地点でポーンを交換することが多いので、g7にフィアンケットされたビショップが
威力を発揮しやすいことからこのような名前がついたのでしょう。



Accelerated DragonはいくつものオープニングからTransposeすることが
できますが、Shinはこの手順から入ることをお勧めします。


他に一般的なのは1.e4 c5 2.Nf3 Nc6ですが、これは白に3.Bb5と指すRossolimo変化
へと持っていく選択肢を与えてしまいます。Rossolimo変化が特別いいオープニングとは
言いませんが、これに対抗するためにはAccelerated Dragonとはまた違った考え方が
必要なので、これからAccelerated Dragonを指す人は2...g6から入る方が指しやすいでしょう。



今回の記事では2.Nc6と指さなかったことによりできた白の選択肢、4.Qxd4を見ていきます。


黒は2...Nc6と指さなかったことで、d4の地点を支配することができていません。
これを利用してクイーンをd4まで持っていき、h8のルークを攻撃することで
速攻を仕掛けようというのが4.Qxd4のアイデアです。


4...f6として自らのドラゴンビショップの斜線を閉じてしまうのは面白くないし、
ポーンをただ取りされる4...e5は論外なので、ナイトを展開しながらルークを
守るのがベストムーブです。ここでの白の応手は二つ、そのアイデアは黒のNc6と
駒を展開しながら白のクイーンを攻撃する手に対しての準備です。


5.Bb5は黒が...Nc6と指した時にナイトを取ることで、d4のクイーンの位置を
安定させようという手です。白のスレットはe4-e5と指してf6のナイトをどけた後に、
e5-e6とポーンを突き進め、h8のルークを攻撃しようとするもの。この速攻が
以外と早いので、黒は早急に対抗策を練らなければいけません。


黒はまだクイーンサイドのナイトを展開していないことを利用して、
b5まで出てきたビショップを攻撃します。白がビショップを(例えば
a4の地点に)逃がすと、黒は...b5と指し、c6の利きがなくなった後に
Nc6と指して、白クイーンを攻撃することができますよね。
白はそうなってしまうとわざわざ5.Bb5と指した意味がないため、
6.e5と指して駒の取り合いを狙う他ありません。


6.e5以降は、ほぼ強制的な手順となります。黒の9...b4がうまい手で、
白のクイーンサイドの展開の仕方を難しくしているのが分かるでしょうか。
このポジションは黒に特に問題がないので、白の最もポピュラーな手は
5.e5と、4段目を空けることによってクイーンの逃げ道を確保するものです。


この手はf6のナイトを直接攻撃していますが、c6の地点に何も駒を利かせていません。
このため、黒は5.Nc6として白クイーンを攻撃しつつ、e5のポーンにプレッシャーをかけることができます


白は何度もクイーンを動かしているように見えますが、黒もナイトを攻撃されて
テンポを取られているので、バランスが取れた局面と言えるでしょう。
黒はd5にいるナイトを逃がす手か、7...e6と指してナイトを守る手が考えられます。
まず7...e6ですが、この手は黒マスに大きな穴を開けてしまうため、いい手とは思えません。
なので黒はナイトを逃がす手を指す必要があります。b4、b6、c7の3通りの位置があり、
どれも過去の試合でよく指されています。ここでShinが勧めるのは、7...Nb6と逃げる手です。


この手のアイデアは何でしょう?直接c2でのフォークを狙う7...Ndb4や、
b5の地点をコントロールしながらNe6からのマヌーバリングを狙う7...Nc7に
比べると、7...Nb6は一見何も狙ってないように見えます。まずb6にいるナイトは、
c7やb4にいる局面と比べて非常に安全な位置だと言えます。その理由は、
b4にいるナイトは将来的にa2-a3と指されて攻撃される可能性があるし、
c7のナイトは黒のカウンターであるd7-d5を指した時に、アンパサンをされると
当たってしまうという短所があります。そしてShinは、白が5.e5と指したのはクイーンに
4段目の逃げ道を作ってあげるためだと言いましたが、b6のナイトはc6にいるナイトと協力し、
クイーンサイドの4段目を完璧に支配しています。



この変化では、白の黒マスビショップはe5のポーンを守りながらd6の地点に
プレッシャーをかける、f4に出るのが一般的ですが、そうしてしまうと白のクイーンは
4段目に行き場所がなくなってしまいます。そういった意味では、7...Nb6は
白の5.e5という手のアイデアに対抗した手だと言えると思います。

7..Nb6のアイデアを説明したところで、今回の記事はこの辺で一旦終わりたいと思います。
当初の予定ではもっと7...Nb6の後を掘り進めようと思ったのですが、記事がちょっと長くなってしまい、
入門編ということで少しずつアイデアを説明した方が良さそうかな〜、と思ったので。。。
次の記事で7...Nb6から始まる変化をカバーし、その次の記事でAccelerated Dragon
特有の変化、Maroczy Bindについて書いていこうと思います。
では皆さん、また次の記事までGood Luck and Have Fun!!

ツイート

記事へ戻る

inserted by FC2 system